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辻 竜二

デザイン工程の思考プロセス解説(仮説立て編)

こんにちは、
commono株式会社Webデザイナーの辻です!

この記事では、実際のクライアントワークの流れを数回に分けて、その思考プロセスを言語化していくシリーズとして書いていきます。

前回、デザインのリファレンスは「見た目の参考」ではなく、プロジェクトの方向性を考えるための材料として活用している、というお話をしました。

第二弾の今回は、「仮説立て編」と題し、そのリファレンスをもとに「どのように仮説を立てているのか」を整理していきます。

拙筆ですが最後までお付き合いいただけますと幸いです。

この記事はどんな人向け?

・デザイナーを目指している、デザイナーになりたての人
・制作の流れの中で「どうしてそう考えたのか」に興味がある人
・コモノのアウトプットや考え方に興味がある人
・上流工程はディレクターやプランナーの領域だと思っている人
・頭で考える前にとりあえず手を動かしてしまいたい!という人

はじめに

デザインの上流工程では、
よく「仮説」という言葉が出てきます。
少し難しく聞こえますよね。

ここでいう仮説とは、
「この課題に対して、こういう方向性が良いのではないか?」
という“仮の前提”を置くこと
だと考えています。

仮説は「正解を当てるためのもの」ではなく、
プロジェクトの意思決定を進めるための
スタート地点をつくること
が目的です。

デザインの仕事では、
最初から正解が分かっていることはほぼありません。

だからこそ

・リサーチ
・リファレンス
・ユーザー理解

といった情報をもとに
まずは仮の方向性を置く
という作業が必要になります。

リファレンスから仮説が生まれる
プロセス

前回の記事では、

リファレンス集めは
上流工程の意思決定を支える材料
になる、という話をしました。

では、その材料を使って
どのように仮説を導いていくのでしょうか。

大きく分けて、
次の4つのステップで考えることが多いです。

では順番に見ていきましょう。

① 事例収集

最初のステップは、
リファレンスとなる事例を幅広く集めることです。

この段階では

「このデザインが好きかどうか」

ではなく

どんな構造になっているのか
どんな考え方で作られていそうか

という視点で観察していきます。

例えば、

・どんな情報がトップに配置されているのか
・どんなメッセージが強調されているのか
・どんなユーザーを想定していそうか

などを見ていくと、

単なる見た目以上に
サイトの設計思想が見えてくることがあります。

② 共通点を見つける

次に、複数のリファレンスを見比べながら
共通している構造やパターンを探します。

・同じような情報構造が多い
・似たようなメッセージの出し方をしている
・同じようなトーンでデザインされている

といった共通点が見えてくることがあります。
この段階で大切なのは、
なぜこの構造がよく使われているのか
という視点で整理することです。

③ なぜそうなっているのかを考える

共通構造が見えてきたら、

次は
“なぜそれが選ばれているのか”
を考えていきます。

例えば、

・誰に向けた情報なのか
・どんな課題を解決しようとしているのか
・どんな価値を伝えたいのか

といった視点で整理していくと、
そのデザインが
どんな目的のもとに作られているのか
が見えてきます。

ここで初めて、リファレンスが
「単なる参考デザイン」ではなく
思考材料になる瞬間
が生まれます。

④ 仮説化

最後に、

ここまで整理した内容をもとに
今回のプロジェクトに対する仮説
を立てていきます。

例えば、

・今回のサイトでは○○を優先するべきではないか
・ユーザーは○○を求めているのではないか
・この情報設計が有効なのではないか

といった形で、
プロジェクトの方向性となる前提
を整理していきます。

この仮説は、
必ずしも正しいとは限りません。

ですが、
判断の前提が共有されることで、

その後のデザインの議論が
とても進めやすくなります。

上流工程で仮説立てを行う意味

私たちが考える仮説の役割は、
デザインの正解を決めることではありません。
むしろ

「どの前提で意思決定するのか」
をチームで共有すること

にあります。

仮説があることで、

・何を優先するべきか
・どの方向性で進めるか
・なぜそのデザインなのか

といった判断の基準が
チーム全体で揃います。

その結果、
デザインレビューや議論も

「なんとなく好き」

ではなく

課題や目的をもとにした建設的な会話
に変わっていきます。

逆に仮説がない状態で進むと、

・方向性が「なんとなく」で決まる
・レビューが好みの議論になる
・過去の成功体験に依存する
・判断の理由が説明できない

といった状況になりやすくなります。

その結果、

・手戻りが増える
・チーム内の認識がずれる
・クライアントとの合意形成が難しくなる

といった問題が起こりやすくなります。

仮説立てはデザインの一部

仮説立てというと、
リサーチや戦略の領域のように
感じるかもしれません。

ですが私たちは、
これもデザインの重要な工程の一つ
だと考えています。

デザインは、見た目を作る作業だけではなく、
「何をどう伝えるべきか」を整理する仕事でもあるからです。

そして、その整理の中で大切になるのが、
クライアントの持つ「らしさ」です。

私たちは、
リファレンスから見えてくる業界の文脈と、
ヒアリングやリサーチから見えてくるその企業らしさ

この両方を踏まえながら、
仮説を組み立てていきます。

同じ業界の企業であっても、

・どんな価値を大切にしているのか
・どんな顧客に選ばれているのか
・どんな強みを持っているのか

は、それぞれ異なります。

リファレンスから業界の傾向を読み取ることは、
もちろん大切です。

ただ、それはあくまで
“正解の型”を知るための工程です。

それだけを頼りにしてしまうと、
どの企業にも当てはまる
似たようなデザインになってしまう可能性があります。

だからこそ、
業界の文脈と企業のらしさの両方を踏まえながら、
仮説を立てていくことが重要になります。

そうして生まれた仮説が、
最終的に

・情報設計
・UI設計
・ビジュアルデザイン

といったアウトプットの方向性を
形づくる土台になっていくと考えています。

おわりに

ここまで読んでくださってありがとうございます!

今回は、「リファレンスから仮説を立てる思考プロセス」
について整理してみました。

次回は、こうして立てた仮説をどのように
コンセプトやデザイン方針に落とし込んでいくのかを
解説していけたらと思います。

もし制作事例に興味を持っていただけましたら、ぜひWORKSもご覧ください!

Works

それではまた。

Written by

辻 竜二 Ryuji Tsuji

designer

札幌市出身、2016年3月に北海道芸術デザイン専門学校卒業。
映像制作会社、広告代理店勤務を経て2020年1月入社。
Webデザイン・ECオペレーターをメインに、映像制作、CGモデリング、DTPなど、クリエイティブ全般の業務に広く携わらせていただいています。

Q1. commonoに参加した理由
きっかけは知人の紹介です。"ブランディング"というクリエイティブの手法に縛られずに企業の課題解決に取り組む姿勢に魅力を感じ、デザインに関わる様々な経験を積めると感じ入社させていただきました。
Q2. わたしの偏愛
白黒の動物が好きでグッズ収集をしています。
Q3. 今後commonoというフィールドでやりたいこと
北海道のクリエイティブの価値を高めていくため、たくさんの人に愛されるブランディングのため、コモノの一員として日々自分がすべきことを考え努力していきたいです。

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