デザイナーとしてマーケティングを考える(4)4Pのキモを知る
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2017.05.12

デザイナーとしてマーケティングを考える(4)4Pのキモを知る

こんにちは、commonoデザイナー/翻訳者の内村です。
デザインとマーケティングの関連性についての第4話目です。今回は3回目でお話ししきれなかった”4P”についてもう少し考えていきたいと思います。
4Pや4Cに代表されるマーケティングミックスですが、それを活用するためには幾つかのコツが必要です。ここでは4Pにしぼって、3つ挙げていきたいと思います。
1. 4Pで考えるべきことは、イノベーションである必要はない。
イノベーションはマーケティング戦略上非常に重要な要素ですが、4Pのレベルで行うべきことではありません。
マーケティング戦略には以下のようなステップがあります:

上図からもわかるように、マーケティングミックスとは。調査、市場分析、ターゲティング、ポジショニングまで終わって初めてたどり着けるステップな訳です。「何を、誰に」売るか、という部分は出来上がっていて、それを「どこで、どう」売るかという部分を考えるのがマーケティングミックスの役目です。
ですから、もちろん有効で革新的なアイディアがあるに越したことはないのですが、過去に成功例がある手法をとることをためらう理由は全くありません。むしろ、過去例をたくさん集め、成功と失敗両方のポイントを見定め、自分たちの事例にどう当てはまるかを考える、これがマーケティングミックスの時に必要な分析法といえるでしょう。
2. 4Pで重要なのはひとつひとつのアイディアの質の高さよりも、4つのバランスである。
前回も書きましたが、4Pで確認すべきことは、それぞれのPの仕上がりの良さではなく、「お互いの整合性」です。ある化粧品会社の実例を見てみましょう。この会社は、新商品として保湿クリームを開発しました。その4Pは以下のようなものです。
Product:保湿成分を従来商品より多く配合。40代女性がターゲット。
Price:高級感を出すため競合商品より高め。
Place:大手百貨店の化粧品売り場
Promotion:人気女優(20代)を広告塔として起用。CMは大きな話題になった。
さて、あなたはこの4Pの中に整合性の欠けている、バランスが悪い部分があるのにお気づきでしょうか。あなたなら、どこを変えますか?
結論を申し上げると、この実例で失敗したのは”Promotion”の部分でした。20代の女優を起用したCMが話題になりましたが、それは20代の女性の間でのことだったのです。彼女たちは最初はデパートに行き商品を購入しましたが、20代が使用するには保湿効果が高すぎ、べたついてしまったそうです。当然リピート購入はなく、また本来のターゲットであった40代女性には認知してもらえないという悪循環に陥ってしまいました。
この例で面白いのは、「女優さんやCM自体の質は高く、話題にもなったのに失敗した」というところです。それぞれのPのレベルは高くても、整合性を欠いてしまうと残念な結果になってしまう、「ウチはいいものを作ってるのに、なぜ売れないんだ」というセリフの背景には、案外こういうバランスの悪さがあるのかもしれません。
3. 4Pを現代に当てはめるには、それぞれの要素をもうひとつ深堀りしてみよう。
それぞれのPが適切かを確認するために、各項目のキモといえる部分を明確にしておきましょう。
a. Productのキモは、ソリューション。
提供する製品やサービスを確認する上で、クオリティはもちろん大事なのですが、それよりも重要なのはソリューションです。
・顧客は何を求めているのか
・顧客には解決が必要などんな問題があるか
・顧客にどんな体験をさせられるのか
・既にある商品と比べて何が違うのか
上記のような視点で他のPとのバランスを考え、自分たちのプロダクトがどのような特徴を持っているか、あるいは持つべきかを考えていきましょう。
b. Priceのキモは、ターゲット
価格設定とはつまりターゲットの設定です。スタバの例で考えてみると、普段コーヒーを1000円で飲む層にとっては安い選択肢ですが、コンビニのコーヒーしか飲まない人をターゲットにするのは難しいでしょう。
・ターゲットは誰か
・この価格にして市場のどこにポジショニングしたいか
・この価格と製品の価値とのバランスは妥当か
・この価格設定によって、企業はどう利益を得たいか
このような点を考慮していきます。もちろん他のPとの整合性も忘れずに。
c. Placeのキモは、ブランディング
意外におもわれるかもしれませんが、どこで売るか、どのような流通にのせるかということとブランディングには、密接な関連があります。スタバの1号店が銀座だったのも、あるペットボトル飲料がコンビニ限定販売なのも、ある会社の服が自社店舗でしか購入できないのも、ブランディングのためです。
販売の場所や経路の設定は、その商品が手に入れやすいかそうでないか、入手するのに資格がいるか、という敷居の高さのコントロールになります。
・どこで製品を購入できるか
・製品を購入できる条件は何かあるか
・製品を渡す経路はどのようなものか
上記の点で、他のPとの齟齬がないか、確認していきます。
d. Promotionのキモは、コンセプト
プロモーションとは、製品を相手に知ってもらうための手段です。このシリーズで考えている、「独りよがりでないデザイン」「PDCA」といった要素を熟考して、一発でのインパクトだけでなく、継続して変化することを見越して、認知を続けなくてはいけません。
・誰に伝えたいか
・どんなコンセプトを伝えたいか
・伝える媒体は何か
・いつ、どのようなタイミングで行うか
・どれくらいのコストをかけるか
以上のことを考え、製品、価格、流通とバランスが取れているか、考えます。
2話にわたって、4Pを実践に当てはめていくための重要点を挙げていきましたが、いかがでしょうか。
この4つを別々の部署で行っている企業も少なくありませんが、それぞれがかみ合っていないと効果が半減してしまう、あるいは成功するはずだったプロジェクトもポシャってしまうということもあり得ます。かたや個人で事業を展開していく場合、トータルコントロールはきくのですがそれぞれの要素に注力できないということが多いように思います。
この部分をまとめるデザイナーの需要が近年増えているのは、そういう理由によるのだと思います。IBMがエンジニアとデザイナーの割合を1:30から1:8にまで上げ、1500人まで増やそうとしているのも、個人のオフィスや地方の会社からUXデザイン関連の依頼が増えているのも、そういうことなのでしょう。
デザイナーの優劣が、マーケティングセンスや知識の差になる時代が、遠からず来るのでしょう。クリエイターとしての矜持も保ちつつも時代の數勢を見極めるために、日々鍛錬ですね。

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